フェス主催者対談~ミライの話をしよう~
THE CAMP BOOK 開催直前スペシャル企画!
今回はなんとフェス主催者同士の対談。相手は「りんご音楽祭」の実行委員長、古川陽介さん。
長野県松本市で11年目を迎えたりんご音楽祭、同じ長野県で今年から開催するTHE CAMP BOOK。
どんな内容になるのか必見です。
インタビュアー(以下I):今日は珍しいフェス主催者同士の対談ということで、宜しくお願い致します。
同じ長野県で開催のフェス主催者が、まさかの中学の同級生という縁があり、今回はセッティングさせていただきました。
樋口(以下H)・古川(以下F):宜しくお願いします!
I:さて、早速お聞きしたいのですが、まずはお互いのフェスの紹介、イベントの特性などを教えてください。
H:キャンプブックは今年で3回目を迎えるキャンプしながら楽しんでもらえるといったフェスを初年度から目指しています。読んで字の如くなんですけど。
ファミリー層に向けて主にプロモーションをかけているんだけど、親子で楽しめるようなコンテンツを主催独自でピックアップしているので押し付けになってしまう部分があるのかもしれないけど、まず来てもらって楽しんでほしい、って感じですかね。
ブッキングに関しても、ジャンルに捉われない主催チームの趣味の色が出ている構成なのかなと思います。一つ言えるのは、パンクとかハードコアの話がよく出るのでそのあたりの要素は多少なりとも初年度から出ているのかなと思います。
I:ありがとうございます。古川さんはどうでしょう?
F:りんご音楽祭は長野県松本市、アルプス公園で11年前から開催しているフェスです。
他のフェスとの違いは始めた当初はかなりありました。
それこそ中規模、小規模のフェスって11年前はあまりなかったんですよね。
大規模フェスはとにかく準備も含めて参加から終わるまでのハードルが高いと思いました。
僕はクラブとかライブハウスで普段からずっと遊んでいたので、遊び仲間を誘っても全然来てくれないんです。「ヒールで参加できないよ!」とかね。(笑)
自分が意識しているのはとにかく参加していてラク。非日常を楽しむっていうのは他のフェスでも掲げているところが多いと思うんだけど、僕らは普段通りで参加できる日常の延長線上で楽しめるフェスを目指しています。
松本市からも車で15分くらいだし、夜は街中で遊んでもらったり、飲み歩いてもらったりしたいと思っていて。それこそ最近はそういったタイプのフェスも増えてきましたが、僕らが始めた頃は全然なかったのでそこが特性の1つ、。あとは全国のインディーズや、クラブシーンをかなりフューチャリングしています。
そういった中で、オーディションをやることにも力を入れています。全国各地で活躍している若手のバンドを多く出すのも特徴かな、と。音楽面以外だと普段自分が行ってる飲食店に出店してもらったり、飲み仲間と妄想しながら話している時に出たことを実際コンテンツとして入れちゃったりしてるのでノリで決めることが非常に多いですね(笑)
I:ありがとうございます。では今後やっていきたいこととかどんなイベントにしていきたい、やっていくにあたり育てていきたい部分などありましたら教えてください。
H:まずは場所を定めたい。動員も増えていった時に場所をどう使うかってことも考えなければいけないし、オートキャンプも入れていきたいかな。今年はないんですけど。
この先どんなイベントに育てていきたいかというところに関しては俺は古川に逆に聞きたくて。10年続いているイベントって多くないし、1年目2年目3年目の苦労だったりとか。3年目にはどんなビジョンを持っていたかとか。
F:どんなイベントに育てていきたいかみたいなことは・・・特にないですね。
今やれることをやっているだけだし、個人でやってるからこそビジョンみたいなものを掲げてやっているってことはないです。週5くらいで、それこそクラブやライブハウスに行って生の声を聞いてると思っているので、それを聞いて勝手にアップデートしているって感じだと思います。自分たち運営スタッフが楽しむことが大前提で、その範囲内で出来ることは常に考えています。
個人でやってる分フットワーク軽く色々決められるので動きが早いと思っていて、そこはお客さんが期待してくれてると思います。
あと、自分は計画的にこのイベントをやっていないと思いますよ。動員目標とかないです。その通りにいくことなんてまずないし。計画通りだったらもう売り切れてる(笑)そんな風になかなかうまくいかないから(笑)
I:そんな考えがあったんですね。それぞれ色や目的も違っていて面白いですね。今回はお二人ともフェスの主催者ということなんですがお互いのイベントに対する印象や感想をお聞かせください。
H:アーティストの知識半端ないんだなっていうのは最初思いましたね。
日本のバンドだったりとかクラブミュージックだったりとかのアンテナの張り方は凄いなと思ったし、りんご音楽祭に向けての動き、例えばさっき言ってたオーディションだったり。は本当に他のフェスにはないところかなと思います。
F:キャンプブックさんへの印象は「近くでフェス始まったな」くらいしか正直なくて(爆笑)
これだけ遊びに行く自分だから、行ったことないところに関しては何の感想も持てないんですけどチェックはしていましたね。実は初年度にDJで誘ってもらったことがあるんですよ。近くでやってたからいつかなんかあるかなと思ってたんですけど、まさか同級生がやってたとは思わなかったよ(笑)
H:いやいや俺だって思ってなかったよ(笑)もちろんりんご音楽祭は知ってたけど。バスケ部の同級生からなんだよね、きっかけは。
I:ありがとうございます。さて今度は今年のフェスはお二人ともこれから本番だと思うのですが、今年の目玉企画といいますか、出演アーティストが目玉だったらそれでも良いのですが見たほうがいい、体験したほうがいいことがあれば教えてください。
F:うちは特にヘッドライナーとかって概念もないし、特に「これを」っていうのはないし、したくないんです。
うちのテーマとして仲間の中でよく使う言葉で「それぞれのパーティーがあるよね」っていうの言ってるんですけど、みんなそれぞれ違うところで楽しんでるから、1つのフェスでさえ、それぞれが見えないところで勝手に楽しんでるから、自分たちが思う特徴をあまり大きな声で言わないようにしています。
わざわざ「インスタ映え」させないことも凄く意識しています。勝手に好きなところでやってくれと。それが真実だから。ここで楽しんでねっていうことは多様性の真逆にあるものであると思っていて。見たいもん見ればいいし。
ちなみにここ2年カラオケスナックを入れてるんですが、「ずっとここにいた」って人がいて。何しに来たんだと、チケット代払って(笑)
でもそれで最高って言ってるんですよ。それでいいじゃないですか。
だからホント目玉とかそういう概念がない。あえて言うなら最後の僕のDJですかね(笑)そこに集約されるんですよ。最後に辿り着く場所なので。
I:うちにも出てくれるじゃないですか。今回は。どうなんですかDJとしてそのあたりは。
F:いや~凄い並びで僕に来ますよね。おいおいおいおいみたいな。修行ですよ(笑)
あの大御所の並びで。若手1人もいないしみたいな(笑)
今までの話を見た上で、そのdj sleeperがキャンプブックでやりますと書いてください(笑)りんご音楽祭を楽しめる人は僕のDJ楽しんでくれるんじゃないですかね。
I:ご覧の方々是非お楽しみに。キャンプブックはどうですか?
H:うちはPUFFYと卓球さんかなぁ~。
F:凄いよね。よく決まったね。
H:1年目2年目にやってきて積み重ねだったのかなって部分は感じるよね。
あとは地元の出店者さんに結構今年は出てもらうことになって長野地方もたくさん周ってそれこそ古川のいる松本とかにも行かせてもらって。甲府のほうから韮崎のほうまで結構周りながらオファーしたりってことはやってきたかな。
I:なるほどなるほど。さて、表題にもなっていますイベント業界のこれからということでお聞きしたいのですが、今や1年中毎週のように各地で開催されているフェス業界はこれからどんな方向に向かうのか、またどんな方向へ向かっていってほしいのかを教えてください。
F:フェスは増えすぎてるから今後絶対に淘汰されていくと思います。
H:あ~全く一緒。
F:増えすぎるとお客さんのワクワク度とかも減ってくるし気軽にやるもんでもないですね。祭りなんで。そんなやるもんじゃないですよ、儲からないし現実的に大変だから(笑)、イメージとして「楽しそう、やってみたい」ってのはあるかもしれないんですけどね、あまりにも大変なんですよね。
H:あははは。そう。あまりにも大変。マジで割に合わない。
F:本業でやってるのに遊び行ってるほうがいいなって本当に思いますし。
1年に1回2日間やるとかっていうより、3組くらい呼んで毎週街中でやるみたいな。そしたら設営必要ないし。そのほうが街の為になるのかなとか。多様性がもっと出てきてほしいなと思うしそれが自然の流れかと思う。
H:フェスの形は本当に続くものと、増えるのは増えると思うけど続かないものも出てくる中で最終的に淘汰されていくのかなと自分も思うかな。
希望としては何にも分からない、全く異業種のところから始めるっていうのが出てきたら良いなって思ってる。うちもそうだったし。実行委員会形式を取らず1会社が主催してるフェスってなかなかないと思うから、そういったところは増えてくれると面白くなるのかなと思う。
F:テント屋さんとか、建築とかインフラを作るところが主催するってのはね、面白いよね。他のフェスではできないことができると思うし。発注したら高いけど自前で出来る、場所を作れるってことは強みですよ。テント屋さんとかがフェスやったら凄いと思いますよ。
I:なるほど。普段あまり聞けない業界の中で働く人ならではのお答えではないかなと思いました。次は同級生のお二人の趣味嗜好を聞いてみたいと思うのですがズバリ、中学時代に聞いてたものとか影響を受けたものを聞かせてください。
F:イエモン聞いてたイエモン。復活してからは聞いてないけど。
H:自分はDragon Ashのパンク時代。天使のロックとか。
F:あ~わかる、めっちゃわかる。
H:古川が音楽好きってのは全く印象なかったなぁ。ちっちゃくてサッカー部の印象(笑)
F:自分もそういう印象はなかったな(笑)親からもらったお昼代を節約して立川の中古のCD屋とかによく行ってた。300円コーナーのCDをひたすらジャケ買いしてた。
高校に入ってから、近くのレンタルCD屋でバイトしてたんだけど、クラシックと演歌以外AからZまで全部端から聴いた。今かけてるテクノとかハウスとかもその時に全部知ったかな。チャゲアスが好きで今でもカラオケ行ったらほぼチャゲアス。
H:俺はそういう環境なかったから。当時はPCとかネットが普及してなかったから気軽に試聴できなかった。だけどパンク・メロコアはハイスタ流れでケムリとかずっと聞いてて、そこからオムニバスとかにいってっていう高校時代だったかなぁ。そこから洋楽、ヒップホップ、レゲエにいったかな。バンド系はあまり聞いてなかったね。
F:みんな気軽に音楽が聴けなかったから、シェアしたり音楽について仲間で話す機会が今より多かったんじゃないかな。テープ作って自分のコンピ作ったりしてた。その頃からそういう趣味はあったのかも。親バンドマンだったし。
H:うちもそう。父親の影響が強いかな。イーグルスとか凄い好きだったし。俺はバンドやってたこともあってそこも大きいと思うね。今になれば。バックボーンはお互い考えてみたらあったってことなんだろうね。
I:そんな感じの思春期を経て今があるということですね。本日はお二人ともお忙しい中ありがとうございました!
Interview&Edit:Mitsuaki Furugori
Photo:Kenichi Kurosaki